5000日後の世界 すべてがAIと接続された「ミラーワールド」が訪れる
https://gyazo.com/3467e3a04d1d5535100e02a81fd19934
ミラーワールドとは、 イェール大学のデビッド・ガランター教授が最初に広めた言葉です。 ミラーワールドでは、スティーブン・スピルバーグ監督の映画 『レディ・プレイヤー1』 に出てくるように、現実の世界の上にバーチャルな世界が覆いかぶさることになります。 何百万人もの人が関わる、 世界規模の何らかのレイヤーです。人々は現実世界ではそれぞれの住んでいる地域にいますが、同時に、他の場所にいる人と地球サイズのバーチャルな世界を一緒に紡ぐのです。 ミラーワールドの最も基本的な説明は、 「現実世界の上に重なった、 その場所に関する情報のレイヤーを通して世界を見る方法」というものです。VR(仮想現実)は外界が見えないゴーグルの中でのバーチャルな世界ですが、 ARは、スマートグラスなどを通して現実世界を見ます。 すると現実の風景に重なる形で、 バーチャルの映像や文字が出現します。例えば、スマートグラスをつけて、 とある古い家が建っている場所を訪れたとします。 グラスを通してその古い家を見ると、 そこがかつてどんな様子だったのかがわかるイメージ画像が、 仮想的に重なって見える、といった具合です。5000日後の世界 すべてがAIと接続された「ミラーワールド」が訪れるケヴィン・ケリー19ページ そして、それに続く第三の大きなプラットフォームが、物理的な全世界をデジタル化したもの (ミラーワールド)です。 現実の世界や関係性を検索し、 それを利用して新しいものを生み出せるよう、 Alやアルゴリズムを適用するものです。 その優れた点は、それらを見ることができるだけでなく、 対象がデジタル化されているので、機械がそれらを読めるということです。5000日後の世界 すべてがAIと接続された「ミラーワールド」が訪れるケヴィン・ケリー22ページ 「ARやミラーワールドは人々をより幸福にしてくれるのか?」という質問に戻りましょう。 正直に言えば、私にはわかりません。 しかし思うに、 人々は健康で自分の時間を自由に使えれば、より幸せになったと感じるでしょう。他人に支配されずに自分の行動を自分で自由に決められれば満足です。 それこそテクノロジーがわれわれに与えてくれる、選択肢の多様性です。5000日後の世界 すべてがAIと接続された「ミラーワールド」が訪れるケヴィン・ケリー32ページ 本章の冒頭で、ARによる共同作業を可能にするために必要なツールの一つとしてブロックチェーンを紹介しました。 暗号通貨やブロックチェーンなどの新しいテクノロジーは、こうした共同作業の場における支払いを容易にするツールとなる可能性があります。 オープンソースのままではなくて改良した商用レベルのものができて、将来は開発者などに補償がされる形になるでしょう。5000日後の世界 すべてがAIと接続された「ミラーワールド」が訪れるケヴィン・ケリー 37ページ ここでちょっと、 アーミッシュのことを思い出しましたが、彼らは主にドイツ系の移民で、 前近代的な生活スタイルを尊重するキリスト教の一派です (二〇一九年時点での人口は約三十四万人と言われる)。 テクノロジーを非常にゆっくりと取り入れる人たちなんですが、搾乳機は使っています。 そこで、もしロボット搾乳機があれば使うかどうか尋ねてみたところ、 使うと言っていました。5000日後の世界 すべてがAIと接続された「ミラーワールド」が訪れるケヴィン・ケリー 69ページ 余談ですが、最近はスマートホーム、スマートシティ、スマートウォッチなどと、いろんなものに 「スマート」と付けるようになりましたが、私は代わりにハッカブル(利用者が操作できる : hackable) という言葉を使うのはどうかと考えています。 「スマート○○」 という言葉はすべて「ハッカブル○○」 に置き換えることが可能なんです。ハッカブルシティーと言い換えてみると、現在行なわれている監視カメラやハッキングに対して疑問が湧いてきます。 そうしたものには社会的コストがかかり、それで普及にブレーキがかかるでしょう。5000日後の世界 すべてがAIと接続された「ミラーワールド」が訪れるケヴィン・ケリー71 ページ デジタル化された証券であるセキュリティトークンなどを使い、 不動産の共同保有をするなど、 ブロックチェーンを用いて何でも商品化しようという動きもあります。しかし逆に、売り買いできないものは何かと考えてしまいますね。 私としては、これまで商品化されなかったものに興味を持ちます。 例えば睡眠はどうでしょう。 睡眠を売り買いする方法ってあるのでしょうか?5000日後の世界 すべてがAIと接続された「ミラーワールド」が訪れるケヴィン・ケリー83ページ 二〇二一年一二月、 ツイッター創業者のジャック・ドーシーが、自分の 「初ツイート」 を三百万ドル(約三億三千万円)で売りました。 このツイートはNFTを使ってオークションにかけられたのですが、 NFTはNonFungible Token (非代替性トークン) という言葉を略したもので、ブロックチェーンのテクノロジーを使い、 デジタルの署名として使うことができます。 デジタルで作られた作品は、 いくらでもコピーが可能で希少性が出ません。しかしデジタル署名が付いていれば、それが希少なものだと主張できます。5000日後の世界 すべてがAIと接続された「ミラーワールド」が訪れるケヴィン・ケリー 84ページ 車の電気モーターはガソリンエンジンより、ヒートポンプも暖炉よりずっと効率的ですし、そういうものに切り替えて電気を基礎とした経済に移行すれば、生活様式を変えずにエネルギー消費量を半分にできるのです。また、私の活動仲間でソール・グリフィスという人がいて、『Electrify』(電気の衝撃:未邦訳)という本を書きました。本書には私も推薦文を寄せています。その本の主張は、すべてを電化することで地球温暖化を制御できるというものです。エネルギーや暖房に石油を使ってはならず、すべて電化しなくてはならないという話です。彼も、太陽や風、水力や原子力で電気を起こし、家の冷暖房から飛行機を含むすべての乗り物、文明を成り立たせるすべてのものを電化することを提案しています。そしてそうするだけで、環境問題の半分は解決すると言うのです。5000日後の世界 すべてがAIと接続された「ミラーワールド」が訪れるケヴィン・ケリー (pp.86-87) アメリカでは、 すでに人種差別を軽減するためにARが使われています。 ARで外見を変え、 あなたが黒人になって私が日本人になるなどと、 まったく自分の素性を変えてしまうんです。 そういう状態で他者がどう反応するかを体験すると、理屈ではなくてお互いの見方を感じることができます。 そういう機能を多くの会社が研修に使っています。 会社の社員教育まで含めれば、 教育市場はとてつもなく大きなものになります。5000日後の世界 すべてがAIと接続された「ミラーワールド」が訪れるケヴィン・ケリー 90ページ 「どうやって学ぶかを学ぶ」 というのは究極のスキルで、大学を卒業して就職するまでに誰も教えてはくれません。例えば、 これからどういうプログラミング言語を学ぼうか考えたとき、 現在主流のものは五年後には消えるかもしれません。 あなたが本当に就きたい仕事は、いまはまだ存在しないかもしれない。 こうした変化しやすい世界では、一生の間に何度も物事のやり方を変えなくてはならなくなるでしょう。5000日後の世界 すべてがAIと接続された「ミラーワールド」が訪れるケヴィン・ケリー111 ページ 私は長い間スマホも使わず、 ツイッターもやっていませんでした。 ラップトップパソコンを持っていない時期もありました。 しかしいまではラップトップもスマホも持っていますし、ツイッターも使っています。 しかしスマホではソーシャルメディアはきちんとコントロールできないので使っておらず、 ただの電話とグーグル検索専用です。 ちなみにアレクサも使っていますよ。5000日後の世界 すべてがAIと接続された「ミラーワールド」が訪れるケヴィン・ケリー124ページ 企業の規模が大きくなればなるほどイノベーションが難しくなるのは、 新しい突破口が見つからないからです。そして端的に言うなら、 成功すればするほど完璧さと(効率面での)最適化しか求めなくなるからでしょう。自分たちがすでに成し遂げてきたことや、プロセスが最適になることを追求するようになるのです。 新しい発見のためには、最適化とは反対のことをしなくてはなりません。 失敗する可能性が高く、 儲けの少ない、 小さな市場へと方向転換をしないといけないのです。 どう見ても、ビジネス的には悪い環境です。5000日後の世界 すべてがAIと接続された「ミラーワールド」が訪れるケヴィン・ケリー 130ページ